〇△鹿

面白くもなんともないこの世を、もっと面白く。

面白くはないけど、とっても面白い世界へ

子どもの頃に思っていたほど、実際の世界はそんなに面白くなくて──

奇跡とも不思議とも、待ってるだけでは出会えなかった。

 

空から女の子が降ってくるとか、

見慣れない小道に迷い込むとか、

私は、そういうものをずっと期待していたんですよ。

だから慣れない町を、自らブラブラと歩いてみたりするんですよ。

不思議との出会いをずっと探しているんですよ。

いい年して、お恥ずかしながら。

 

そうすると、小さな古本屋をみつけたり、

吹く風に忘れていた思い出が蘇ったり、

奇妙に町を照らす夕暮れに行き当たったり、

そういう瞬間には出会えました。

 

そういうのも、全然、悪くない。

子どもの頃に思い描いた奇跡よりも、ずっと地味だけど、

こういう夜に変わる一瞬前の景色のような、意識しないと見えない日常も、

随分と立派な奇跡だと思います。

 

そういうのには、「物語」が宿ります。

景色は、そっと内側に特別なお話を秘めています。

この世は、ただ待っているだけではツマラナイ。

茫然と眺めるだけではアジケナイ。

ツマラナイとアジケナイと、思ってしまうには、とてもモッタイナイ、のです。

もうちょっと、もうちょっとだけ、見つめて祈って探り出してみませんか?

私と一緒に、世界の面白さについて。